まず、なぜパソコンを買ったか?
もう、12年位前になりますか、僕は結婚指輪というものを,当時の恋人/今の妻にプレゼントしました。そのころ結婚指輪は給料の3ヶ月分とかいうCMがあり、そんな高価な物はあげませんでしたけど、そこそこの買い物をしました。結婚すると、易々と自分の物も買えなくなるし、自分にもお祝いの品を買ってあげたかったので、ついパソコンを買うことにしました。実は、パソコンを所有するのはそれが初めてではありませんでした。生まれて初めて手にしたパソコンはNECの8001mkIIという奴でした。3年位使ったでしょうか?いつのまにか、触れなくなり,いつのまにか、どこかにいってしまっていました。それから、10年以上は経っていたと思いますが、ふと欲しくなったのです。NECのPC98EXという、80286の機械を買いました。
それで何をしよう?
最初のうちは、お決まりのゲームです。「大戦略」なんかははまりました。でも、ゲームだけで何十万もする機械を買ったわけでは無いので、ワープロや表計算ソフトも入手しました。パーソナルでワープロ(当時一太郎)を使うとすればとりあえず日記でしょう。長く続きませんでした。表計算ソフト(当時1・2・3)を使うとすれば家計簿です。それも長く続きませんでした。ふと気がつくと,サラリーマンが個人でパソコンを家に持ってもやることがないんです!日記もつけない、家計簿もいらない私には,パソコンの利用方法はゲーム位しかないのだろうか?
そのころ、ゴルフを先輩から教えられ、たまにショートコースに行っていたので、そうだ!表計算ソフトでスコア管理するソフトを作ろう!これが,サラリーマンがパソコン活用する手段だ!ということで、1・2・3でスコア管理マクロを組み初めました。
こり始めると意外と難しいぞ
ここまでの、話は多くのサラリーマンがたどる道ではないでしょうか?昨年末、Windows95ブームでパソコンを買った諸氏はEXCELなんぞで、ゴルフスコアを保存しようと思っているのではないでしょうか?
18ホール分のデータを保存して、例えば日付VSショット数のグラフを書かせるのは簡単です。ところが、解析したいものが増えてくると,極端に難しくなるのも表計算ソフトです。パーの確率ですとか、パー5でのバーディの確率ですとか、過去のベストスコアーですとかを表現するのは処理が複雑になりすぎて、私は挫折してしまいました。それと、データ量がどんどん増えていってしまいます。複雑なマクロを組むと処理時間も随分かかるようになりました。次第にスマートさがなくなっていくのもわかりました。表計算ソフトに限界を感じ、かといって乗りかけた船でもあったので,いっそうのことプログラムを作ろうと決心しました。昔、8001mkIIを手にしたころは、BASICで円や線をグラフィックで書いておもしろかった経験もあります。少しずつパソコンが自分の思い通りに動く快感も知っていましたので、挑戦することにしました。言語はCを使いました。私は、決してプログラマを職業にしている訳ではありません。単に「C」というのがはやっていそうだったので、これを選択しました。実際には、QUICK
C(DOS版)というのを使いましたが,全てが勉強です。ディスプレイに文字を表示するところからはじめたのですから。
フリーウェアありがとう
プログラム作成のおもしろいところは、制作過程がはっきり結果としてでてくるところだと思います。手をかければそれなりの機能になったり、画面になったりします。また、自分自身のプログラムに対する欲求も止まるところを知りません。このPC98DOS版の作成にあたっては多くのフリーソフトの助けを借りました。グラフィック作成ソフトや、効果音作成ソフト、そしてウィンドウ表示ソフト(今のWindowsとは違います)。おかげで、いわゆるアプリケーションソフトらしくなってきました。そうそう、プログラム名を決めなければなりません。これを安易に決めてしまいました。私の構想としては、スコアを帳面のように保存することをイメージしていましたので、ゴルフスコアブックとしました。よって、オープニング画面には"GOLF
SCORE BOOK"と表示しました。そして、ファイル名はSB.exeにしました。この時、ファイル名はGSB.EXEとにでもしてプログラム名と合わせておけばよかったのです。私の頭の中では、このソフトはSBということになっているのですが、ユーザーの方々はオープニング画面のイメージからGSBといってきます。ここにちょっと違和感があるのです。
形になったところで、誰かに見せたくなりました。同時に多くのフリーソフトにもお世話になりましたので、恥じをしのんで、パソ通に公開してみようと思いました。アップロードの仕方もよくわからないまま、どうにか公開にふみつけました。一日・二日と経つににつれ、2件・3件とダウンロード数も増えていき、たまに、感想やバグ報告や多くの励ましのメールもいただくようになりました。こうしてついに1992年3月DOS版のゴルフスコアブックが完成したのです。
WINDOWSがやってきた
DOS版が完成したころは、すでにWINDOWS3.1はありました。ただ、上級機種でもCPUが80386であったため、重くてあまり実用的ではなかったようです。当初の私のパソコンは80286ですのでWINDOWSを載せる気にもなりませんでした。しかし、技術の進歩はすばらしいもので、2年位でしょうか、80486が現れ、ハードディスクも安くなり、ディスプレイの解像度が向上するとWINDOWSも魅力的なOSに見えてきました。そのころ、転職をしました。前の会社はPC98のみが入っていましたので、自宅のマシンもPC98の方が何かと便利だったのですが、辞めてからは別にその必要もないのでDOS/Vマシンの購入を考え始めました。そしてWINDOWSをやってみようと。新しいマシンの購入を決意したのは1994年のことです。はっきりいって今まで持っていた80286の9801EXは前の前の前の機種になっていたので、少々無理しても最新のマシンにしようと思いました。当時は海の向こうのPCがコストパフォーマンスが国産機に比べ高いとういのが通説でしたので、GATEWAY社のP5−90というペンティアム90のマシンを手に入れました。実際、購入してみるとエクセルとかワードとかの処理速度が会社にある486(20MHz)より遥かに早いのでびっくりでした。(今ではこのペンティアム90も入門機レベル?)。とりあえず、ウィンドウズ3.1がサクサク動く環境にはなったのです。
WINDOWS版を作ろう!
98と決別したことで、自分自身ゴルフスコアの管理ソフトを失いました。そもそも自分の為に作ったゴルフ管理ソフトですから、今のDOS/V環境で使えないのはいけません。さっそく新たにソフト作成にかかることにしました。ウィンドウズがやりたくて購入したマシンですから、ウィンドウズ版ソフトを作ろうと思ったのですが、いかんせん、ウィンドウズ初心者の私。どうしたものかと思っていたらVisualBasicがいいとの雑誌記事。大枚はたいてVisualBasicを購入しました。最初はマニュアルや入門書を読んでもさっぱりわかりませんでした。イベントとかプロパティとか今まで聞いたことの無い言葉が多くて。でも簡単なプログラムから初めているうちに徐々に理解できるようになりました。そして、ウィンドウズというOSの良さもわかるようになりました。アプリケーションやゲームに飽きた方は一度、VisualBasicに挑戦してみることをお勧めします。DOS時代にはとても苦労したことが、2・3行のコードでできてしまうことは驚きです。
とはいえ、ゴルフ管理ソフトの開発は時間がかかりました。DOS版からの移植というより、ほとんどが新規作成でしたから。VisualBasicが案外楽とはいえ、ウィンドウズ特有の処理等、いくつか大きな問題にぶつかりましたが、参考書片手に毎夜毎夜時間を費やしました。半年がかりで最初のバージョンである、「Golf
Score Book for Windows」Ver2.00が完成しました。また、同時にDOS版からのデータコンバータも作成し、私のスコア管理も98からDOS/Vのウィンドウズに移ることができたのです。
シェアウェアにさせてもらいました
実は、このウィンドウズ版は自分以外の第3者が使うことを前提に作成しました。たいしたものでは無いかもしれませんが、ユーザーインターフェイスにも気を使いました。ヘルプなんぞも作りました。作成途中からもしこれが完成して自分自身満足がいくものができたらシェアウェアとして公開してみようと思っていたからです。理由としては、ウィンドウズの参考書等が非常に高価だったことと、多くの時間を費やしたことと、いったいどの位の方がこのソフトを利用しているのかをはっきり知りたかったことにあります。最初のシェアウェアバージョンをパソコン通信にアップロードしたころは、今ほどはシェアウェアの数も多くありませんでした。皆さんに理解していただけるかはちょっと心配でもあったのですが、ダメモトでやらしていただきました。その代わり、ユーザーサポートには時間を掛ける決意でありました。
初めての送金、ありがとう。
最初のシェアウェア版から2・3日後に初めての送金をいただきました。以前のフリーウェア版とは別の感激がありました。それと同時に、責任の重大さをより感じました。初期のバージョンは初めてのwindows用ソフトということもあり様々なバグも多く頻繁にバージョンアップをさせていただきました。(ご迷惑おかけしました。)当時、ゴルフスコア管理のソフトはほとんどなく、いろいろな雑誌にも取り上げられダウンロード数も増えていきましたし、同時にCD付きの雑誌も増えてきてそれに掲載されることも次第に増えて参りました。ユーザーが増えると要望も増えるもので、私の考えた機能を超えるアイデアをいただき、メニュー数も増やすことができたのには大変感謝しております。
win3.1版のどのバージョンからだったか、ほんの少しの隠し機能を追加しました。たいしたことでは無いのですが、立ち上げた時に(GolfScoreBookforWindowsが出ている画面で)、「G」「S」「B」の各キーを押すと、少し画面が変化するのをご存知でしょうか?(win3.1版のみです)これについてはだれにもコメントをいただけませんでした。誰も気づいてくれてないのかもしれません。
そして、WINDOWS95登場
95年の秋にWINDOWS95日本語バージョンのベータ版が配布されはじめました。やはり大変興味があったので、さっそく手に入れてSBWを実行してみました。動くのですが、表示位置がずれる場合があったので、さっそく対応させました。ただし、WINDOWS95で動く、WIN3.1用ソフトとしてですが。WINDOWS95が正式リリースされた時点で、私のマシンもOSもWINDOWS95に切り替えましたので、当然32ビット版のSBWを作りたくなりました。さっそく、VisualBasicの32ビット版を手にいれて95版の作成に手を付けます。目標はWINDOWS95アプリケーションライクな画面と操作性。これを機会にほとんどのコードを書き換えることにしました。理由はWIN95用として(32bit用として)必然的に書き換えなければいけないところもありましたが、非効率的になりつつあった前バージョンの作り直しの意味合いがつよかったのです。画面も再構築しました。グラフは別途サードパーティのocxを購入し機能アップしました。出始めは参考書も少なく苦労しましたが、niftyのソフト開発系のフォーラムにお世話になりながらようやく完成にこぎつけることができました。
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