第58回富士登山競走
(2005/07/23 大会参加記)
<場所:富士吉田市-富士山頂 7時30分スタート>
5月からターゲットにしてきた今年夏のメインイベント、富士登山競走。初参加の今回、時間内に山頂は無理としても、せめて八合目くらいまでは・・。それを目標にしてきたし、それなりに汗は流してきたつもりでいた。けれども、結果的には五合目関門アウト。あまりにも、情けない結果の、初めての富士登山競走参加記。
前日、主催者の勧める富士急トラベル斡旋の某民宿に前泊。部屋は8人部屋だが、6時の食事が終わった時点でも3人しか来ていない。同室の人との話も尽きて、消灯した9時の段階でも、やれ風呂だの遅い食事だので半分くらいしかそろわない。結局、うとうとしながら遅く着いた人や風呂上りの人のガサガサ音と蒸し暑い室内で、うとうとしながら朝を迎えた。
近くに宿を取っているので、ぎりぎりまで宿にいてもいいのだが、今日は早く行って準備を終え、スタート地点前方に並ぼうと前日から決めていた。このレースは、並んだ順のスタート。制限時間で容赦なくアウトとなるので、スタート時のロスはなくしたい。
6時前に会場到着。腕に今回の各ポイントの目標タイムを書く。中ノ茶屋40分。馬返し1時間8分。五合目は2時間9分通過。八合目、3時間55分。そして山頂4時間30分。とりあえず、そういう気持ちが大事だ。
トイレ・ストレッチを終えて、7時5分前にスタート地点付近に待機。7時に道路閉鎖(?)で、ささっとスタート地点に陣取る。さすがに最前列では無いが前から2mくらいのところか?スタート台の選手宣誓等がこんなにまじかに見えるなんて、ちょっと感激。
さぁ、いよいよ、始まる。天気は快晴。さて、どんな4時間半が始まるのか。どこまでできるのか。そんな期待に胸を膨らましていた。
そして・・・スタート!ところが、前が進まない。って前から2mにいるのになぜ進まないのか?あ・・・。えっ・・・。
転倒。
事後知ったことだが、なんでも横からの割り込みで前がつっかえたらしい。そんなことってあるのか?
すぐに立ち上がろうと思っても、後ろから怒涛のように人が押し寄せてくる。殺意すら感じる。靴も脱げたが、まだ足にひっかかっていたのでどうにか履けた。起き上がって再スタート。結局ロスタイムは20秒くらいだったので、体制には影響なかったが、ちょっと出鼻をくじかれた。せっかく早起きしたのに・・。
市役所前の通りから左折し、139号に入るとここから坂が始まる。とともに、前方に富士山が見える。山頂までくっきりと。いままで何度か富士吉田に来たが、はじめてこの場所から富士を見た。あんな遠くにあるんだぁ。これが第一印象だった。
すでにこの時点で多くのランナーに抜かれていく。でも、ここでは私は全くのひよっこ。速い人はいくらでもいるはず。1000人くらいに抜かれてもいいくらいだ。お先にどうぞ。気持ちはまだ余裕があった。
浅間神社。そして、吉田口登山道へ。
まだまだ序の口の坂道のはず。しかし、依然抜かれ続ける。走り始めて15分は経っているのでそろそろ回りが自分のペースにあってきてもいい頃だ。ところが、「お前はまだまだ後ろグループだよ」というが如く後ろからパスされる。とはいえ、ペースは上げられない。まだ先は長い。
「中ノ茶屋あと1km」看板。ほんとに1kmかどうかはわからないが、想定した40分にはどうも間に合いそうにない。しかも、いまだに周りのペースに乗れていない。全然だめか?
そして、中ノ茶屋は約2分遅れの42分。水を一杯飲んでリスタート。もうすこしすると、きつい坂がやってくるはず。
頭の中では、序盤の遅れ分をここらへんから、徐々に周りをパスしていくイメージだった。それくらい前半周りに抜かれていた。
抜かれすぎていた。ところが、抜かすどころかまだ周りに付いていけない!
この状況はなんなんだろう?ただで際、目標タイムから遅れている。その上さらに付いていけないのだ。あきらかに周りの人達に比べて劣っているのだ。挽回するどころかずるずる落ちていっている。
この時点で、まず頂上到達は無理を確信。でも、馬返しまでは歩かないという目標はせめて達成しないと。
何人か歩く人も出てきた。しかし想像ではもう少し、歩く人がいるんじゃないかと思ったが全然そうではない。みんなしっかり走っている。私はどうにか歩くよりは速く、でも蚊が止まりそうなくらいのスピードでトポトポいく。
そして、やっと、馬返し。1時間15分。想定から7分おくれ。1割も遅れていることになっている。精神的にもダメージ多し。
次は、登山道だ。自分としてはいっぱいのペースのはずがいとも簡単に抜かれる。おいおい。ここからも全然挽回できないのか?だんだん、闘争心が消えていくのがわかる。ひとりに抜かれる度に、火が少しずつ消えていくようだ。ちょっとだけあった自身は、この時点で粉々にされていた。
この時は、もう、八合目関門もだめだな。辛いから五合目を超えて、山頂が見える六合目くらいでリタイヤしようかな。あそこだったら、荷物をピックアップするところにも近いし・・。とか思いながら登っていく。まだ、そんな「夢」も持っていた。
途中給水の二合五勺に到着。この時点で目標タイムから18分遅れ。ちなみにこの当初の目標タイムだと五合目が関門20分以上前に到着する予定。今から考えれば、この時点で相当、五合目関門に危ない時間だったのだ。しかし、その時はそこまで頭が回らなかった。
水2杯、アクエリアス1杯。レモンと梅干。こんなに取ってる場合じゃなかったのかもしれない。けど、それくらい気を紛らさないととても次に行ける状態でもなかった。
多少、ペースももどしつつ三合目。昔の茶屋後は、多少フラットなのでそこだけみんな走る。私も山道に入って初めて走る。
その時、『ピキッ!』。
左足、ふくらはぎが攣る。痛い。しゃがみこむ。しばらく動けない。恐る恐る立ち上がる。『ピキッ!』。だめだ。その場で座り込む。脂汗。どうにもならない。時間だけは過ぎていく。ランナーはどんどん横を通り過ぎる。焦って立ち上がろうとしても、攣った足は全然元に戻らない。
どれくらい座っていただろう、5分?10分?
「もしかしたら、最終ランナーが通り過ぎて係員が来て始めて起こしてもらえるかなぁ。」そんな気持ちになり始めたころ、ようやく立ち上がることができた。
十分休んだ後は、歩幅も広く取ることができた。この時点では、五合目はまだいけると思っていた。時計を見ると五合目関門まではまだ時間がある。しかも、登るペースは休んだ分、前より全然速い。ここで初めて周りの人をパスできるようになった。
四合目通過。あと12分。12分で行けるのかなぁ。もしかして相当危ない?五合目不通過を心配しだしたのはこの時が初めてだった。それくらい、せめて五合目は、いけると正直思っていた。
登りのペースは結構あがってきていいのだが、一向に五合目手前の舗装道が見えてこない。やばいぞ。まずいよね・・・。
そしてついに2時間30分経過。五合目のはるか手前でその時間を迎えた。
周りは淡々と歩いている。そう、もう消化試合だ。もう目標はない。順位もない。ただ、とりあえず五合目まで。どんよりした雰囲気。もうだれも、息を上げて動いていない。そんな状況だった。
五合目到着。2時間38分。「前のゼッケンをはずしてください。」
給水所の少年少女は、8分前まで繰り返して言っていたのだろう。「がんばってくださーぃ」といいながら水を渡してくれる。ここにいる人はもうがんばらない人なんだよ・・。
スタート前に転んだり、足が攣ったりしたが、それがなくても今回は完走できなかったに違いない。とにかく、完敗。走力不足。いっそうのこと、怪我でもしてだめだったら格好がつくのに。完走できなかったかっこいい理由が無いのだ。まさしく、力が無いだけ。
ゴール直後は、ああだめだったという気持ちだけだった。
家に電話した。GT-MAILが五合目以降は送られないから心配するだろうから。「だめだったよ。」という言葉を言った瞬間、涙が込み上げてきてすぐ切った。だんだん、無性に悔して悔しくて、泣けてきた。こんな気持ちは初めてだった。
五合目終了の我々は特に混雑もなく、市役所行きのバスに乗り下山できた。市役所でうどんをもらって食べ終わった時間は昼の12時。富士登山競走ゴールの制限時間だ。その時間に私は3000mも下で帰路についていた。
疲れはなかった。もう一度走れと言われたらとりあえず走れるくらいだ。でも、次の機会は1年待たなければ訪れない。
2005年の夏は、思いのほか、あっけなく終わった。
申し訳ございません。コメントはPC用ページから頂いています。
コメントはこちらから
【いただいたコメント】
>まりも さんからのコメント
まささん、お疲れ様でした。
富士登山競争、本当に過酷な大会なんですね。
でも、きっとリベンジ果たせるはず!と思っています。
2005/07/23
>shimo さんからのコメント
スタート地点の混雑ひどかったですね。
何で前が動かないのか分からないし、後ろからの圧力たるやすごかった。
足が攣ったら、攣ったところを伸ばすんです。
山道を走っていると、攣ることはシバシバありました。練習量が増えると自然に減るようです。
来年もチャレンジしましょう
2005/07/23
>ヒロ児玉 さんからのコメント
スタート直後の転倒や脚が攣ったりと、思わぬアクシデントがあったんですね。
かなり消化不良のレースだったけど、その悔し涙を来年嬉涙にすればいいじゃないの!また試走会お付き合いしますぜ。
2005/07/23
>navi さんからのコメント
僕には富士登山競争は想像を絶するレースのようです。
残念でしたね。文章から悔しさや情けなさが伝わってきます。
でもこれで来年への課題がハッキリと見えた、ということでしょうか…。とりあえずお疲れさまでした!
2005/07/24
>じゅん さんからのコメント
お疲れ様でした。僕も初参加して8号目でリタイアしました。でも悔いはありません。来年に向けて沢山の課題を残す結果となりましたが、それだけ楽しみが増えたということだと思います。
それにしても馬返しまできつかったですよね。正直、あんなに辛いとは思いませんでした。当初私も馬返しまでは走るつもりでしたし、それだけの「気力」や「根性」を持ち合わせていると勝手に思っていました。でも、歩きましたよ。3回ぐらい。僕ももう少し歩いている人が多いかと思ってましたが、意外と皆さん頑張って走り通してました。
いずれにせよ、来年一緒にリベンジしましょう!
では。
2005/07/24
>「た」 さんからのコメント
お疲れ様でした。
想像もしなかった残念な結果に驚いていますが、まささんならきっと1年後のリベンジ果たされることでしょう。
2005/07/24
>masa さんからのコメント
>まりもさん
リベンジかぁ。とにかく先のことですから・・・半年後に考えます。
>shimoさん
後から考えると、攣ったときしゃがみこんだのがまずかったのでしょうね。それで、延ばせなくなってしまいました。春からの準備レースでも攣ったことが無かったんで、対処方法にパニくってしまいまいた。
>ヒロ児玉さん
いやほんと消化不良ですよ。甲子園目指してそれなりに練習して、1回戦5回コールド負けの気分です。
>naviさん
来年の課題は、まず、「でれる資格があるのか」から考えることかもしれません(^^)
>じゅんさん
そうそう。もっと歩く人いると思ったんですよ。その中でも、俺はそうじゃないんだ!っていうのでモチベーションをあげようと思ったのに・・
>「た」さん
1年後リベンジの絵は、全然かけません・・(T^T)
2005/07/24
>アロハ さんからのコメント
山に慣れること。それだけです。ハセツネ参加しましょう!山系レースは、来年のリベンジです。忘れませんあなたの努力と汗そして汗を・・・。
2005/07/24
>shobun さんからのコメント
アロハ師は、汗そして涙を、と書かれたつもりですよね?
市役所でうどん、の頃メールをいただけたのですね。知らぬこととはいえ、失礼いたしました。お許し下さい。
そんな気にいまはなれないかもしれませんが、試走会、これから何回かしましょう!まささんがこれだけ苦戦されるのですから、やはり大変なレースなんですね。
2005/07/24
>らんらん さんからのコメント
まささん、お疲れ様でした。立派な初挑戦だったと思います。でも今まで頑張っていただけに悔しいですよね。私まで涙してしまいました。
また是非チャレンジしてください。陰ながら応援しています。
2005/07/24
>moai さんからのコメント
はじめまして。
2回目の挑戦も8合目で散りました。
3度目の正直となるか、といっても
あと360日ほど、どれだけ精進できるか・・・。
ああ、長い!
それでも、今回も半分以上の方々がそれぞれに悔しい思いを抱えてまた次の機会を目指している、そう考えるだけでなんだか勇気をもらえたような気がします。
出直します。お互い頑張りましょう!
TBさせていただきます。
2005/07/24
>小虫 さんからのコメント
針で刺すといいって噂。<攣る
2005/07/24
>虹の木 さんからのコメント
お疲れ様でした。
レース後には単純に力不足と書かれていましたがアクシデントも重なり完走できなくて残念でしたね。しかし簡単に達成できない目標であるほどチャレンジする価値があるのではないでしょうか。来年以降も頑張ってください。
2005/07/24
>ネオス さんからのコメント
お疲れ様でした。
スタート直後に転ぶアクシデントがあったり、足が攣ったり大変だったようですね。
来年はもちろんリベンジですよね。平日でなければ私も挑戦します。
2005/07/24
>こじろう さんからのコメント
いろいろなアクシデントもあり富士制覇は残念でしたね。来年の富士攻略を1年計画で行ってリベンジしてくださいね。(試走会誘ってくださーい)
2005/07/24
>masa さんからのコメント
>アロハさん
だから、ハセツネはでません・・汗
>shobunさん
いやあの時はうどんも食べ終え、宿の前に車を取りに歩いているところでした。ポーチにいれておいたので気づかずすいませんでした。
>らんらんさん
いやぁとても立派というには、程遠いですよぉ・・
>moaiさん
360日精進しないとだめですかねぇ・・。とりあえず、私は休息モードにすでに入っています。(おさぼりモードともいう)
>小虫さん
では、こんど刺してあげようw
>虹の木さん
たしかにチャレンジしがいはあるかも。もうすこし壁が低いといいのだが・・(笑)
>ネオスさん
いろいろあって、確かに記憶に残りそうな大会ではありますね。
>こじろうさん
策に1年。練習1ヶ月で達成できればいいんだけど。
2005/07/24
>まったか さんからのコメント
お疲れ様でした。
丹沢でいいタイムを出していたマサさんなので、ちとびっくり。
でも、一年楽しみがずれただけということで、来年また楽しめばいいじゃないですか。(^^ )
お疲れ様でした、ゆっくり休んでくださいな。
2005/07/24
>RASCAL さんからのコメント
結構厳しいレース内容だったんですね。
来年の飛躍のために、今年は悔しい思いを噛みしめてみるのも良いのではないですか。
2005/07/25
>みずやん さんからのコメント
想像以上の難関なんですね。
登山の練習をしていない私には想像すらできません。
一年後の目標っていうのも壮大でいいんじゃないですかね。
2005/07/25
>ホロ さんからのコメント
う~ん、残念!
来年のリベンジ期待してます。
完走記拝見しましたが5合目敗退の理由は10行読んでで判りました。
テキーラですよ、テキーラ!燃料を投入しなければ走れません。
来年は差し入れしますね(笑
2005/07/25
>masa さんからのコメント
>まったかさん
はい。ゆっくり休んでいます♪
>RASCALさん
飛躍できればいいですが・・(^^)
>みずやんさん
壮大かぁ。まぁ、最初の結果が低かった分だけ、それを越えるのは楽なのかもしれませんが・・
>ホロさん
げ。テキーラでしたか!
前日、酒抑えたのが敗因かなぁ・・。(結構真剣に考えます)
2005/07/25
>chama さんからのコメント
お久しぶりです。
残念でしたね。ぜひ,また来年挑戦してください。
富士登山競走,なんだか凄いマラソンですね。まささんで無理なら,私にはとっても無理なレースです。
2005/07/25
>wiwi さんからのコメント
参加記読みながら感情入り込んでウルウルしてしまいました。
なんか、まささんならきっと今度は完走できそうな気がします。なんか。
2005/07/26
>masa さんからのコメント
>chamaさん
いえいえ、ぜひ来年挑戦してみてください。
>wiwiさん
いやぁ。3年かけてもできるかどうかわからないですね。遅くなればなるほど、歳の影響も出てくるし・・。あせりますな(^^)
2005/07/26
>かど さんからのコメント
遅れましたが、富士登山競争残念でした。でもその悔しさが来年につながりそうですね。夏はオフみたいですので、ゆっくり休んで鋭気を養ってください。
2005/07/27
>洋子 さんからのコメント
どうやら馬返し以降、まささんとすれ違ってるようです。
私は去年に続き2回目です。8合目、15分遅れでアウトだった去年より、精進?したつもりなんですが・・・。馬返し、1時間16分、五合目で2時間33分。どうやら最初の8k、オーバーペースのようです。馬返しに着いたときはもう登る気力がなくなってました。
私の夏も終わりました。
また一年長ーいです。人数も、年齢も増えるし、ちょっと弱気ですが、来年頂上でお会いできるといいですね。
2005/07/28
>masa さんからのコメント
>かどさん
いろいろ事前にアドバイスいただきましたのに不甲斐ない結果で申し訳ございませんでした・・
>洋子さん
きっとどこかでパスされたんですね。来年はもう少し上で抜かれたいです(^^)
2005/07/28
>じゅん さんからのコメント
富士登山競争、初参加。
>中ノ茶屋40分。馬返し1時間8分。五合目は2時間9分通過。八合目、3時間55分。そして山頂4時間30分
を、参考にさせていただきました。
八合目以外は、ほぼ予定通り。プラマイ1分程度。
八合目で47分通過。廻りのランナーは、
「大丈夫、行けますよ」というが、
失格の危険を感じて必死に駆け上がり、
なんとか22分台でゴール。
なかなか、面白いレースでした。
下山でゲルフジはボロボロ。でも、来年も使えそう。
2008/08/11
>masa さんからのコメント
>じゅんさん
完走おめでとうございます。なかなかシューズって捨てられないですよね。
2008/08/11
前:
富士登山結果・・ごめんなさい
次:
ランニングは夏休み