私、自称、高橋尚子ファンです。少なくとも彼女と小出監督はマラソンのすばらしさを広く一般に広げた功労者だと思っています。
その高橋尚子がアテネ五輪の夏を失ったというテーマで書かれた本「
高橋尚子 失われた夏」(新潮社)を読みました。
東京国際の失速からアテネ代表の発表までを中心に書かれています。そうアテネ五輪代表発表は昨年の3月15日。まだ1年も経っていないんですねぇ・・・。
その日、私は会社が休みでした。その1週間後に迫った、自身初のフルマラソン挑戦を前にして、もし完走できた時に飲む記念の美酒であろうワインを買いに、とあるところに車で向かっていました。その車のラジオで聞いた、ニュース速報。「高橋落選。」今でもどの交差点でその一報を聞き、自分の耳を疑い、車を停めそのラジオを聞き入ったか覚えています。
あらためて活字でその時のことを読み、思い出すと、なぜか涙が出てきました。
なぜ?なぜだろう・・。たぶん、初マラソンへの思い入れが、高橋尚子のすごさと重なって、その頃の・・・・うーんわからない。
明らかに1年前と今とでは、彼女の置かれている環境は一変しました。王者から挑戦者に。そして、絶対的なウィナー候補から引退をささやかれるように。でも、次にチャレンジしていますよね。もう一度、フルマラソンのスタート地点に立つ彼女を見たいです。それがゴールのテープを一番で切れないレースであっても。そう思わせる一冊でした。